中国の子育て事情~後編~日本との違いやその特徴

前回は中国の子育て事情、教育方面のことを義務教育まで紹介させていただきました。

生まれる前からすでに力を入れている中国の親たちに対して、びっくりした人もいるかもしれません。

しかし、さらなる壮絶なサバイバルが子どもたちを待っています。

もし義務教育の9年間をなんとなく普通で卒業できたとしても、多くの子供たちには、高校進学からは完全な戦争と言えるほど過酷な環境が待っています。

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■実力主義の始まり、高校受験

中考
zhōng kǎo
高校入試

正式名称は“初中学业水平考试”(chū zhōng xué yè shuǐ píng kǎo shì、中学学力レベル試験)です。

その試験の結果により、中学校を卒業していいのか、そしてどんな学校に進学できるのかを判断します。

小学校と中学校は家の近くで就学するという基本前提があるため、もっといい学校に行きたいなら自分で受験するという形になっていますが、それと違って、高校の入学試験は完全に全国の入試を受けることになっています。

各地域の教育機関は各自で試験の時間、内容などの詳細を決めます。もちろん住む地域以外の学校に入りたいのも当然のことなので、その時はその学校の地域の基準をクリアしないといけません。

成績だけではなく、志望校を決める時も相当難しいことです。

例えば、筆記試験の成績だけではなく、近年では面接をより重視する学校も増えています。

特に優良校だと認定されたら、今は本の知識よりプレゼン能力や、創造能力など学生の全面的な質により合格を判断する傾向になっています。

それに志望校の順番も、家庭会議レベルの問題です。

たとえ合格ラインの点数を取ったとしても、順番の前後により志望校に入学できなかったこともあります。

志愿
zhì yuàn
志望校

模拟考
mó nǐ kǎo
模擬試験

通常学生们根据自己的模拟考成绩来填报中考志愿。
tōng cháng xué shēng men gēn jù zì jǐ de mó nǐ kǎo chéng jì lái tián bào zhōng kǎo zhì yuàn。
学生のみんなは普通自分の模擬試験の成績によって高校の志望校を書きます。

复读
fù dú
受験浪人

もし志望校に入れなかったら、現実を納得し入れる学校に入るか、一回浪人して改めて挑戦するかになります。
いい高校に入ることで人生が決められるわけではないですが、それによっていい大学に入る確率が高くなると考える親は多いようです。

そうです。高校入試のレベルアップ版、大学入試がその先に待っています。

高考
gāo kǎo
大学入試

高考定终生。
gāo kǎo dìng zhōng shēng。
大学入試により人生が決められます。

大学入試の試験内容それぞれの省、市などにより出題しますが、評価基準は教育部が決めます。そして合格ラインも基準によって何種類を分けられます。

今はそれほどではないですが、まだ人生、確実に言うと卒業後の人生は大学によって決められると思っている人がたくさんいます。

なぜなら、いい大学の卒業生=いい職に就くからです。

特にそれほど専門知識を求められていない職に関しては、いい大学の卒業生なら一般人より就職率は断トツに高いです。

そのため、高校入試の志望校選択よりさらに慎重にしないといけませんし、そして志望校に入るまで何年でも浪人する人もいるとニュースにもなったことがあります。

そして、その地域の成績トップはパレードをやるほど大きなこととして報道され、それも大学入試の重要性をまたさらにアップさせています。

 

■終わりなきその先へ

以前だと大学卒業で就職も十分ですが、人口膨大な中国にとって新卒という群もすごい数です。それプラス第二新卒など、毎年就職説明会にはコミケほどのレベルの参加者がいます。

そのため自分の競争力をあげるため、さらなる進学を選ぶ人がたくさんいます。

考研
kǎo yán
大学院進学

硕士
shuò shì
修士

博士
bó shì
博士前期課程

博士后
bó shì hòu
博士後期課程

毕业即失业。
bì yè jì shī yè。
卒業はイコール失業。

 

流行り始めた頃は確かに魅力的でした。

人によりもっと勉強したというのは、やはりもっと知識量があるということです。しかしそれも社会経験の不足を意味すると考えている人も少なくないです。

そのため、大学院進学した人は、ほとんど専門職を就く人が多いです。

一般職を就こうとしても、勉強によって年もその分取っているし、実務経験は人より少ないため、逆に不利な立場になっています。

そのため、生まれる前から子供の心配をしている親たちが、たとえ成人し、卒業してもまだ心配し続けるしかありません。

社会はもともと人にとって不公平であり、残酷です。

今の若者は中国でも日本でもいろいろな問題を抱えています。職を就けなくてニートになったり、結婚できないなど、現代社会の問題なら中国も日本も似ています。

しかしながらせめて日本ではまだ子供たちがある程度自由な時間があり、重い期待を持っている親もそれほどいません。それは中国の子供たちにとって羨ましいことでしょう。

なにせよ子供にプレッシャーかけすぎてもいけないし、ゆとりすぎでもいけない、子育ては本当に大変ですね。