日本の新幹線に相当する中国の高速鉄道は、日本やフランス、ドイツから技術を導入して急ピッチで開発を進め、総延長距離と運行速度において世界最高を記録するまでになりました。世界最長の中国の高速鉄道網は現在約25,000kmで、2025年には38,000kmまで延ばすことが計画されています。
高速鉄道網は中国全土の広範囲に渡り、首都である北京からはほとんどの主要都市まで2〜8時間で結ばれています。高速鉄道は春節の大移動をはじめ新たな交通手段として高い乗車率で利用されています。
今回は中国の高速鉄道の現状について、その利用に関連するフレーズと合わせてご紹介します。
世界最高の運行速度
中国は2007年に日本やフランス、ドイツから高速鉄道の車両を導入し、現在では85%が国産になっています。最新車両の「復興号」では数多くの自主開発技術を搭載し、運行システムの改良と合わせて安全性を高めています。
北京―上海間は走行距離1,318kmで、復興号での所要時間は4時間48分です。最高運行速度は時速350kmに達しています。
高速鉄道の運行速度の世界ランキングにおいて、中国に続く2位はフランスで、最高速度は時速320kmです。日本は3位で、東北新幹線の時速263kmが国内最高です。
快適な乗り心地
上海への高速列車は,高速鉄道専用駅である北京南駅から出発 しています。
北京南駅は大規模なターミナル駅ですが、鉄道というよりは飛行場のような雰囲気になっています。高速列車の切符の購入には身分証明書やパスポートの提示が必要となっており、切符には氏名が印字されています。中国人は身分証明書、外国人はパスポートを切符とともに提示して改札口を通過します。
発車15分前までホームに入ることができないので、それまでは広い待合室で待機します。また発車4分前には改札からの入場が打ち切られます。改札時間を制限することで定刻発車が守られています。
座席のクラスは「商務」「1等」「2等」の3タイプに分かれています。商務の座席は横3列でフルフラットなので足を伸ばして寝ることも可能です。各座席には個人用モニタがついていて、スリッパや雑誌・新聞が用意され、食事も付いています。運賃は1,748元(約3万円)です。
1等の座席は横4列で運賃は933元(約1.6万円)です。2等の座席は横5列で、日本の新幹線の普通車両とほぼ同じです。運賃は533元(約9千円)です。
中国の高速鉄道は直線距離が長く、トンネルが少ないこともあり、振動が少なく走行は安定しています。乗り心地は日本の新幹線と差がなく快適です。
今後の改善点
中国の高速鉄道は車両やサービスなど多くの点において日本の新幹線とほぼ同等ですが、問題もいくつかあります。最大の問題は採算を度外視して拡張しているため、運営にあたる国営の鉄道会社は、年々負債を拡大させています。
また2011年に発生した高速鉄道の衝突事故を受け、最高速度の制限をはじめとした安全対策を施しているものの、事故発生時の対応も含め更なる改善が期待されています。