中国人の仕事や転職についての考え方と、日本との違い

中国で働く事に対して、皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか?

私は、日本から派遣されてきたサラリーマンが、仕事に対する価値観の違いに四苦八苦する場面を良く見てきました。

 

私個人は、以前は中国の現地法人で雇われて働いていたため、日本の考え方とは違う所も多いのはもちろんですが、一方、似た所もあり、興味深く観察しながら働いていました。

中国人に囲まれて仕事をし、そして今、日本で仕事をする中で感じた中国の実情を、使える中国語と共に紹介します。

 

中国人はほんとうに仕事をよく変える?

20代後半~30代の中国人と食事をしていた時、当時26歳の男性の転職について、みんなで議論していました。

日本と比べて中国人の転職率は高いと言われています。

そのため、私はその時もてっきり皆転職に賛同すると思っていたのですが、そこにいた人々は口々に、男性に慎重になるよう説得していたのです。

どういう事なのか聞いた所、「職場が安定している企業なら、キャリアを考慮しても長く居た方が良いと考えるのが普通でしょ?」と、至極まっとうな回答をされました。

そこに居たのはそこそこ学歴がしっかりした、所謂サラリーマンとして働く中国人が多い中での話です。

データ統計を調べると、2017年における日本の離職率が平均15%なのに対して、中国は19.7%と一見大きく変わらない様に見えます。

 

しかし、確かに私が働いていた頃の印象では若い子ほど退職するペースが速かったように思ったのです。

調べてみると中国人大卒の入社半年以内の離職率が30%を超え、日本の大卒の入社一年以内の離職率が11.3%ですので、中国人の若い子ほど転職するという事でしょうか。

 

また、学歴が高い人で企業に就職する人ほど将来を見据えた安定した就職をしている人が多く、工場や街角の店舗で働く人は技術を学びながら独立起業を目指す人が多かったので、そこの考え方は日本と変わらないのではないでしょうか。

バブルにのって刹那的な生活をしているかと思いきや、意外と冷静に世の中を見ている人が多かった様に思います。

 

中国で退職する際は

 

我申请退职。 (wǒ shēn qǐng tuì zhí ) 私は退職したいです。


我以后不做了。 (wǒ yǐ hòu bú zuò le )

 

のような表現を使います。

 

この表現は職場のフランクな場面で聞く言葉で、「不做」が「~しない」という意味なので、「もう○○しない。」という表現なのですが、仕事の場で使うと、「もうこの仕事をしない」=「仕事を退職する」という意味で良く使われていました。

 

我决定要换工作。 (wǒ jué dìng yāo huàn gōng zuō )「仕事変える事にしたよ」

 

我要退休。 (wǒ yào tuì xiū)「定年退職するよ」

 

退休と退职の違いは退休は定年退職する時に使いますので、一般的には退职を使います。

 

中国人の仕事の仕方の違い

日本では、一つの目標に向かって皆でフォローしあいながら仕事をこなしていく傾向が強い様に思いますが、中国においてスタッフは自分の仕事を明確にして他の仕事は一切しません。

中国人は仕事内容においては非常にシビアに捉えており、面接時に求められた仕事内容に対しての給料が支払われるから、それ以外の仕事をしない、というスタンスを崩しません。

また、自分の仕事を他の人に渡す事は絶対にしません。

自分の仕事が他人にも出来てしまうと、自分の会社での立場がなくなると考える傾向がありました。

自分の仕事を他の人に渡して自身がスキルアップの為に他の仕事をする、という人は少なく、この部分で説得に苦労する日本人が多かったです。

○○が出来るから給料を上げてくれ、

ではなく

○○しなきゃいけないなら、まず給料をあげろ

と主張するスタッフに対して、会社の現状、スタッフの仕事内容の説明、成果報酬の約束を経て、動いてもらっていました。

 

職場で頻出する中国語

工资(gōngzī)/薪水(xīnshui) 給料
职位(zhíwèi) 役職
董事(dǒngshì)/董事长(dǒngshìzhǎng) 理事・重役・代表取締役
总经理(zǒngjīnglǐ) 社長・総経理
经理(jīnglǐ) 部長・経理・マネージャー
副经理(fùjīnglǐ)/科长(kēzhǎng)/助理经理(zhùlǐjīnglǐ) 係長
股长(gǔzhǎng) 課長
员工(yuángōng) 社員

 

金銭面では気を付けて

中国において「横領は一般的」と言えるほど、どの会社でも問題になっています。

あまり具体的なお話は出来ませんが、給料が月5万円程度のスタッフがある日突然高級海外生産車に乗って出勤してきたというエピソードもあります。

横領の方法はいくつもありますが、代表的なものでは他社とのやり取りでの中抜きです。

実際の料金より高い金額で会社に請求し、差額を懐に入れます。もしくは、取引先から注文数に応じた個人への報酬を持ちかけられ、応じる事も多いです。

特に海外の企業は、外国人上司が中国語を喋れない、中国事情を知らない事を良い事に悪さをする人間が一定数存在しています。

本人たちに罪悪感はなく、むしろ「騙される方が悪い」の精神で行っていますのでタチが悪いです。

現地の会社では本当に信頼できる親戚などをお金に関するポストにおいて対策している所も多いですが、海外企業はそうもいかず、信頼できる中国人スタッフを探すのに一苦労しています。

ある日本人の方は「スタッフが有能な上で、横領の金額が少額だったら見逃してる」ともあきらめと共につぶやいていました。

 

贪污(tānwū)/盗用(dàoyòng) 横領
诈骗(zhàpiàn) 騙す/騙して盗る

 

異文化を楽しんで働こう

今回は経験を基に中国で印象に残ったエピソードを紹介しました。

日本人の感覚とは違い、超個人主義で行われる世界は苦労も多いですが、余計な忖度が要らないさっぱりした環境でやりやすかった一面もあります(上司への忖度は十二分に必要でしたが)。

チームワークより個人成果主義の方は中国のやり方が合っているかもしれません。

チャンスがあれば一度中国で働いてみると、日本とは違った働き方を見つける事が出来るでしょう。