中国語の検定と資格については、検定は現在10種類ほど有りますが、公的な資格は唯一「通訳案内士」だけです。
検定の中で、歴史が古く、比較的名前が知られているものは、「中国語検定試験」と「漢語水平考試(HSK)」でしょう。
今回は、中国語の検定と資格について解説したいと思います。
それでは、まず検定試験から見ていきましょう
中国語検定試験
中国語検定試験は略して「中検」と呼ばれ、一般社団法人日本中国語検定協会が主催している検定試験です。英語で言えば「英検」にあたります。
ランクは下から、準4級、4級、3級、2級、準1級、1級と分かれています。
試験項目は、準4級~2級が筆記とリスニング、準1級と1級はさらに2次試験の面接が加わります。
筆記試験はマークシートと日文中訳が有ります。
レベル的に言うと、3級までが日常会話、2級以上がビジネス中国語となります。
中でも、最高レベルの1級は究極の難関と言ってよく、現役の通訳レベルでも合格しないことがあると言われます。
実際、1級は一般の受験者には問題自体も極めて難しく、また合格ラインも非常に高いため、1級取得を目指すのはあまり現実的でないようです。
したがって、準1級が最終的な目標といえるでしょう。
中検は、中国語の運用能力を試すというよりも、中国語の知識を測る試験です。
3級以上を取得していれば、履歴書に記載して就職時に中国語の能力をアピールできます。
漢語水平考試(HSK)
HSKは中国の文科省にあたる教育部が主催している検定試験で、英語のTOEFLに相当します。
また、早くから海外海外展開をしており、日本の主要都市でも受験できます。
HSKは、主に外国人の中国語運用能力を測るために行われており、ランクは1~6級に分かれています。
以前は最高レベルが11級でしたが、2010年に内容が全面的に刷新され、現在のシステムがとられています。
HSKはまた、中国に留学する一部の外国人留学生が受験を義務付けられており、特に大学本科と大学院に進む留学生は事前にHSKを受験します。
中国の語学留学生(中国語を学んでいる外国人学生)もよく自分のレベルを測るために、卒業時にHSKを受験します。
TECC
TECCは、Test of Communication Chineseの略で、中国語の運用力、コミュニケーション能力を測る検定試験です。
中国語コミュニケーション協会が主催しています。
中検やHSKはレベルによって試験問題の内容も違いますが、TECCは同一の試験内容で1,000点満点のスコア方式を取っています。
これは英語のTOEICと同じシステムです。
20年以上前は、中国語の検定試験と言えば、中検とHSKくらいしか無かったのですが、ここ数年で検定試験も増えてきました。
後発の検定試験は、より客観的な中国語能力を測るものが多い傾向にあるようです。
TECCもその中の一つと言えるでしょう。
「通訳案内士」資格
通訳案内士は、語学系では唯一と言ってよい国家資格です。
「通訳」という名前はついていますが、これはあくまで、来日外国人旅行者のために有償でガイド業をおこなう「旅行ガイド」についてのガイド資格であり、通訳の資格ではありません。
また、日本には、通訳の検定試験はありますが、プロ通訳の資格というものは有りません。
したがって、有料のガイドは、有資格者しか行えませんが、通訳は技能と経験を有する人は誰でもできます。
通訳案内士は、旅行業界を管轄する観光庁が認定する国家資格です。
通訳案内士の試験は毎年1回で、第1次試験の筆記が8月下旬、第2次試験の面接が12月上旬に行われます。
筆記試験の科目は、外国語、日本地理、日本歴史、一般常識(日本の産業、経済、政治及び文化)の4つです。
第2次の面接は、外国語能力、ガイドとしての知識、日本の文化や社会に関する内容が出題され、面接官との会話を行います。
このうち、外国語(中国語)の試験内容については、中検1級程度のかなりレベルの高い問題が出題されます。
しかし、7割程度正解していれば合格ラインに到達できるようです。
試験科目の中でも最も難しいものは一般教養で、こちらは出題範囲が極めて広いため、どの分野の問題が出るかで、試験の結果がかなり左右されてきます。
事前の試験勉強については、通訳案内士試験の過去問題集(各言語有り)が出版されているので、それをこなすことがまず第一です。
また、語学学校や、専門の通訳案内士養成学校が有りますので、そちらに在籍して勉強すれば合格の確立は上がってくると思います(但し学費は高いです)。
通訳案内士は、もともとプロの職業ガイドを養成するための資格試験でしたが、近年の訪日外国人の急増により、観光庁は、2018年から無資格者のガイド業務も一部解禁にしています。
この流れに対し、ガイド業務を正業とする有資格者の団体などからかなり反発が出ましたが、国はガイドの不足に対応するべく無資格ガイドの一部解禁に踏み切りました。
中国語の資格・検定のまとめ
中国語に関する検定、資格は上記のようなものが有ります。
検定については、自分の語学レベルを客観的に測るために有効です。
或いは試験勉強を通じて、レベルアップを図るという手段も考えられます。
また、高いランクの級を取得すれば、就職時のアピールにもなると思います。
通訳案内士については、資格を取ったからといって、すぐにガイドの仕事を始められるかといえば、正直かなり難しいと思います。
実際、ガイドだけで生活できる人は、有資格者全体の10%にも満たないと言われています。
しかし、通訳案内士は唯一の国家資格ですし、外国語について言えば、ビジネスレベル位の実力が無いと合格は難しいので、こちらも語学のレベルを証明できる資格として利用できるでしょう。