◆中国はワールドワイドなグルメ大国
日本は世界中の料理が食べられるグルメ大国と言われていますが、近年は中国も日本を凌ぐほどのグルメ大国になってきました。
中国人の間でも美食志向が高まり、北京や上海などの都市部を中心に世界各国の料理店がオープンしています。
今回は世界的に有名な料理名が中国語ではどのような名前で呼ばれているのかを見てみましょう!
◆中国の外国料理名の法則
世界の料理メニューの中国語を調べてみると、大きく分けて3パターンあることが分かりました。
①分かりやすいように意訳を料理名にしたもの
例)豚カツ→炸猪排(zhá zhū pái)
油で揚げた豚ロース肉という意味そのままです。
②音を残しつつ中国語を足した料理名にしたもの
例)うどん→乌冬面(wū dōng miàn)
うどんという名前を残しつつ麺料理であることを補足しています。
③本来の名前をそのまま料理名にしたもの
例)寿司→寿司(shòu sī)
そのまま中国語で読みます。
では、実際世界の料理名は中国語でどのようになっているのか実例と共に見ていきましょう。
◆①分かりやすいように意訳を料理名にしたもの
外国の料理が中国に浸透するにあたって、料理イメージが湧きやすいように中国語にアレンジした料理名です。
短い単語の中に調理法や国名、素材が入っており、思わず「なるほど」という名前が目白押しです。
tài shì jiǔ céng tǎ chǎo jī dīng
泰式九层塔炒鸡丁
ガパオ
鶏肉をバジルで炒めたタイ料理のガパオは、中国語だとそのまま表現されています。バジルは九层塔と書きますが、イタリアンのバジルは罗勒(luó lè)と言います。どちらもバジルの種類で、日本ではバジルとひとまとめにしていますが、中華圏では厳密に呼び分けされています。
yuè nán hé fěn
越南河粉
フォー
ベトナムを代表する米粉の麺も中国語ではこのように表します。河粉の発音が若干フォーに似ており、中国でもすっかり浸透しているメニューです。
xī bān yá zá huì cài fàn
西班牙杂烩菜饭
パエリア
スペイン(西班牙)のいろいろな食材を一緒に混ぜた(杂烩)混ぜご飯(菜饭)という意味で、非常にイメージしやすい料理名です。
bā xī kǎo ròu bā xī shāo kǎo fàng tí
巴西烤肉、巴西烧烤放题
シュラスコ
直訳でブラジル焼肉と、こちらも直球で分かりやすい料理名です。また、シェラスコは食べ放題になっているお店も多く「放題」は今や中国でも使われる日本発祥の外来語です。
nǎi lào huǒ guō
奶酪火锅
チーズフォンデュ
おしゃれなスイス料理もそのままチーズ鍋と呼ばれます。
qǐ sī là chǎo jī ròu
起司辣炒鸡肉
チーズタッカルビ
中国でのチーズの呼び方もいろいろあり、奶酪、起司、芝士などがあります。
料理の種類がありすぎて呼び方が統一されていないのも、また中国らしいと言えるでしょう。
zhēn zhū nǎi chá
珍珠奶茶
タピオカミルクティー
日本で大流行しているタピオカミルクティーも、中国では何年も前からドリンクの定番です。日本でも昔はパール(珍珠=真珠)ミルクティーと読んでいましたが、いつのまにかタピオカミルクティーの名前に刷新されました。中国ではタピオカをQQと呼んでいるお店もあります。ちなみにQQは中国では「プニプニのもの、グミのようなもの、弾力のあるもの」を指す言葉です。
◆②音を残しつつ中国語を足した料理名にしたもの
元の音+中国語料理名を合わせたものです。
汤(スープ)や饼(薄焼き)など、外来語に中国の風味を足したイメージで、近年多くなっている料理名の表現です。
mǎ shā wén gā lí
马沙文咖喱
マッサマンカレー
カレーの王様と言われるマッサマンカレー!マッサマンは元の呼び方で、カレー(咖喱)のみ中国語読みで表現しています。
gé léi pài bǐng
格雷派饼
ガレット
kě lì bǐng
可丽饼
クレープ
中国では穀物の粉をといて薄く焼き上げたものを総じて饼と呼びます。
そのため、クレープやガレットも例に違わず饼の一種として表現されています。
luó sòng tāng
罗宋汤
ボルシチ
中国では汤はお湯ではなくスープを意味します。罗宋はロシアの音読みをそのまま漢字にしたもので、直訳するとロシアンスープという意味になります。現在、ロシアは中国語で俄罗斯(é luó sī)ですが、ボルシチだけはずっと罗宋のままです。
◆③本来の名前をそのまま料理名にしたもの
本来の料理の呼び方にそのまま漢字をあてた料理名です。あまり多くはありませんが、最近の食べ物に多い印象があります。
mǎ gé lì tè pī sà
玛格丽特披萨
マルゲリータピザ
中国では今やピザは当たり前のように普及していましたが、少し前までは披萨饼と呼ばれていました。ピザは比萨(bǐ sà)とも書かれることもあります。
lā shā lè shā
喇沙、叻沙
ラクサ
ココナッツのスープのシンガポールラクサもそのままです。中国では一時期流行して、フードコートに専門店が出ていたこともありました。
kē bù sè lā
科布色拉
コブサラダ
おしゃれなサラダもそのまま表します。カフェメニューは本来の呼び方をそのまま漢字にしたものが多い印象です。
◆中国で世界中の料理を食べてみよう!
中国では今や世界中の料理を味わうことができます。その料理名も中国風のアレンジが効いているので非常に面白いです。
ぜひ、中国でレストランに行ったときは、メニュー表を読んでその中国語名の成り立ちを想像してみてはいかがでしょうか?