中国におけるスマートフォンの普及とキャッシュレス化

中国では、ここ数年で急速にスマートフォンが普及しています。統計によれば、2015年に販売台数が4億台を突破し、2016年には都市部における普及率が80%に達しました。
実際、上海など大都市においては、ほとんどの中国人がスマホを保有しているようです。上海の地下鉄の中で乗客がスマホをいじる光景は、すでに見慣れたものになりました。
中国語でスマートフォンのことは、

zhìnéng shǒujī
智 能 手 机

と言います。“智能”はスマート、“手机”とは携帯電話のことです。
中国人は、新しいものや便利なものを抵抗無く受け入れる民族性のためか、スマホも全国的にあっという間に普及しました。そのスピードたるや日本人の想像をはるかに超えています。

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中国におけるスマホの人気ブランド

中国では、ガラ携の時代には海外ブランド、例えばモトローラーやノキア、ソニーエリクソンなどが一定の市場シェアを獲得していました。しかしスマホが普及すると、中国のローカルブランドが急速に台頭してきました。海外ブランドでは、アップル社のiPhoneを別格とすれば、わずかにサムソンが一部のシェアを持っているくらいです。iPhoneについて言えば、アップル社はiPhone神話と呼ばれるほどのカリスマ性を持ち、中国市場における最高級機種としての地位をゆるぎないものにしています。中国人アメリカのブランドには弱いようですね。
2017年度のスマホ五大ローカルブランドのランキングは次のようになっています。

1. 华为

2. 小米

3. Oppo

4. Vivo

5. 锤子

トップの「华为」は深センに本拠を置く企業で、最近日本の市場にも進出してきたのですでにおなじみでしょう。2位の「小米」は北京の企業で「华为」を追いかけています。この5社のうち、広東省に本拠を置く企業は、「华为」、「Oppo」、「Vivo」の3社で広東勢が優勢です。広東省は東莞、深セン、広州を中心に電子材料メーカーが集中する一大生産基地となっていて、最終製品のメーカーも集まっています。もう一つの中心地は華東エリアの江蘇省昆山工業区です。
五大ブランドの他にも小さいメーカーがたくさん有り、低価格品は日本円で1万円以下で購入できます。中小メーカーのスマホで、大手のデザインや機能をパクったものは、

shānzhāi shǒujī
山 寨 手 机

と呼ばれています。“山寨”とはもともと山の中に築かれた砦の意味で、政府の目を盗んでパクり携帯を製造する弱小メーカーを山賊になぞらえた表現のようです。もっとも、パクリ文化は元々中国が得意とするところですが、身内をパクるのはダメなのでしょうか?

 

中国のキャッシュレス社会

スマートフォンの普及にしたがって、最近の中国社会に大きな変化が現れました。それが、スマホを使ったペイサービスの急速な普及、すなわちキャッシュレス化です。例えば、飲食店、コンビニ、タクシー、列車の切符などなど、あらゆるところでスマホのペイサービスが利用できるようになりました。こうしたペイサービスを運営している企業はたくさんありますが、その内最も大きなシェアを獲得しているのが、“支付宝”と“PayPal”です。また、大手チャットサービスの“WeChat”もペイサービスを開始しました。
これらのペイサービスは中国語では、

dìsānfāng zhīfù
第 三 方 支 付

と呼ばれています。


例えば、タクシーを利用する場合も、まずスマホの配車アプリ(APP)を使って近くのタクシーを呼びます。それから、目的地に到着した後の支払いもスマホのペイサービスで支払います。すべてスマホ一つあればこと足りるのです。
コンビニやスーパーで買い物するときも、レジの支払いはスマホでOKです。飲食店や美容院、マッサージ店、カラオケ、バーなど、ほぼすべての支払いがスマホ一つで可能になりました。さらに驚くのが、路上の屋台で昼飯を買う時にもスマホのペイサービスが使えます。屋台の端にバーコードのシールが貼ってあり、それをスマホで読み取れば支払い完了です。


また、最近になって急に普及しているものに、シェア自転車が有ります。これは、バーコードと読み取り機が取り付けられた自転車が道端にたくさん停まっていて、あらかじめスマホで登録しておけば、スマホでロックを解除して自由に利用できます。1回の利用で1元(約18円)ほどで、非常に安いです。
シェア自転車は中国語では、

gòngxiǎng dānchē
共 享 单 车

と呼ばれています。


こうなると、実生活の上で現金を持たなくても、ほとんど困ることがなくなりました。上海では、「店で現金を支払っているのは、スマホを扱えない老人か、中国のスマホを持っていない外国人だけ」という笑い話も有るくらいです。こうした中国の現状を見ていると、あまりの普及の速さと広がりの大きさに、少々行き過ぎではないかと思うこともあります。


70年代末に始まった改革開放政策は、すでに40年近く経過しました。その間、中国社会は、西側のさまざまな文化や制度、あるいはシステムを取り入れて大きく変貌して来ました。スマホの急速な普及とキャッシュレス化もその一例です。中国社会の特長は、その変化が速くて大きいことです。あまりの速さについていけないこともありますが、中国を理解する上で、その変化をタイムリーに捉えることも非常に重要だと思います。