だれかと仲良くなりたいと思ったら、相手の考え方や習慣を尊重することが不可欠です。それは外国人と接する時にも同じこと。ここでは中国人がとても重視する食事の奢り方と奢られ方について見てみましょう。
中国人にとっての食事とは?
中国人にとって誰かと一緒に食事をすることは、お互いを知り合い友好をはぐくむための重要な機会です。
そのため仕事上の関係であれプライベートの関係であれ、誰かから食事に誘われるというのは「ゆっくり話をして知り合いましょう」と言われているのと同じです。
この時に変な遠慮をして断り続けると「あなたとは知り合う価値がない」というメッセージを出していることになってしまうので、中国人と仲良くなることはまずできないでしょう。お誘いを受けたらそれに応じるのが近道です。
まずは喜んで奢られよう!
基本的に誘った方が奢ります。そして男性と女性なら男性が、上司と部下なら上司が、収入が高い方が、社会的地位のある方が、といったぐあいです。
そのため最初の食事の時には元気に美味しそうに食べ、「谢谢你这么好的接待。」とお礼を言って奢られると相手は非常に満足し喜んでくれます。
人に食事をごちそうするのはプライドの主張でもあるので、こちらも名刺を低く差し出すような気持で積極的に奢られればオッケーです。でも、「谢谢」を連発するのはやめましょう。日本人がよくする「先日はどうも。」のお礼もNGです。請求しているようにとられるのでお礼はさっぱりとすませます。
気持ちよく奢ってあげよう!
対等でフランクな関係を作っていきたい時、奢り奢られを気持ちよく繰り返していくことがポイントになります。
前回奢ってもらったのであれば、今回はなんとしてでも奢ってあげましょう。
お金を払う場面でよく見かけるのが「我来请你!」(私が奢ります。)と「别别别!我来我来我来!」(いえいえ、私が奢ります。)の言い合いです。
これは中国での一種の礼儀作法のようなものなのできちんと参加しましょう。
自分が奢る番の時には絶対に勝たなくてはいけません。
「上次你请我,这次我请你好吧!」というと大抵の場合はすんなりおさまります。
それでも相手に「没关系 没关系!」(いいから、いいから!)と押し切られそうになった時には、とても有効な言い回しを使ってみましょう。
それが「你怎么不给我面子呀!」です。
メンツを気にする中国人がよく使うとても中国人らしい表現です。相手のメンツを立てるために一歩引くと、これまた自分のメンツも立つ、という相手のプライドに配慮した言葉ですよね。この言葉が出るとこの儀式はすでに終盤。
相手の「好吧 好吧。那下次我来。」という言葉で幕が下ります。
自分が奢る時でなくてもカバンから財布を取りだし一応この儀式に参加するのは大切です。でもこの場合は早めに引き下がっても問題ありません。
でもこの儀式、日本人からすると結構疲れるんですよね。
そんな時には奥の手です。食事がおおかた終わったぐらいにトイレに席を立ち、会計を済ませてしまうと疲れることなくドヤ顔ができます。
でもどちらがお金を払うかの言い合いも中国の文化でありコミュニケーションの一環です。上手なかけ引きができるように練習していきましょう。
まとめ
中国には日本人の大好きな割り勘(AA制)の習慣がありません。
学生たちの間では少し見られるようになりましたが、社会人の中ではほぼ皆無です。順番に奢り合うことで友情と信頼関係を深めていく中国では割り勘は味気なく、冷たく、ケチに感じるようです。奢り上手奢られ上手になることが中国人と仲良くなるための一つの鍵だと心得ましょう。