中国の北京や上海など慢性的な交通渋滞が深刻な大都市では、自宅からオフィスまでの通勤の足として、シェア自転車が良く利用されているそうです。シェア自転車は街中の至ることころに置いてあり、誰でも必要な時に必要な区間だけ利用することができます。自分で自転車を所有する必要がなく、目的地での自転車置き場を気にすることなく乗り捨てできます。
今回は乗り捨て型シェア自転車について、その利用に関連するフレーズと合わせてご紹介します。
中国発の乗り捨て型シェア自転車ビジネス
専用駐輪場型のシェア自転車は以前からありましたが、自転車の専用ステーションで借りて、返す時も専用ステーションまで持って行って返さなければなりませんでした。2016年から始まった乗り捨て型シェア自転車は、わざわざ駐輪場まで行かなくても、あちこちに放置されている自転車に乗り、目指す場所についたら乗り捨てる仕組みです。例えば、地下鉄などの公共交通機関の最寄り駅で降りた後、目的地まで20分歩いていたところを、シェア自転車を使って時間短縮というように、日常生活で誰もが取り入れやすいシステムです。
乗り捨て型シェア自転車は中国発のビジネスで、非常に激しい競争を繰り広げています。2強はオレンジ色のモバイクと黄色のofoです。モバイクは4年間メンテナンス不要の自転車をコンセプトに、IoT機器のスマートロックや太陽電池による給電、ノーパンクタイヤを採用したハイテクが売りです。一方のofoは北京大学の大学院生が創業し、広い大学のキャンパスからサービスを開始しました。使う自転車も大学生が所有していた普通のママチャリから始めました。
乗り捨てられた自転車は、定期的に業者が回収して規定の場所に戻しています。
乗り捨て型シェア自転車の利用方法
利用者は、まずシェア自転車の運営会社のアプリをスマホにダウンロードし、100元から200元程度(約1,700円から3,400円)の保証金を支払って、会員登録をする必要があります。
利用時は、会員登録した会社の自転車のカゴやサドルの下についている専用QRコードをスマホのカメラ機能や専用アプリを使って読み込むと、瞬時にロック解除用の暗証番号が送られてきます。それを入力すればロックが解除され、使用できるようになります。ロックが解除された自転車は、そのままどこにでも乗って行くことができます。
目的地について返却したい時は、アプリを起動して「自転車を返却する」というボタンを押せば、支払いが電子決済で行われます。アプリの「自転車のカギをロックしてください」という指示に従ってロックした後、道の端に並べて置けば利用終了です。自分がどのルートをどれだけの距離、何分走ったかがスマホのGPSを利用して記録され、履歴としていつでも参照可能です。
利用料金は時間制で、1回30分の利用で1元(約17円)程度と極めてリーズナブルです。
外出時に現金を持たず、QRコードによるモバイル決済が常識の中国では、利用者が馴染みやすいサービスです。
頑丈なシェア自転車
シェア自転車は誰でもすぐに乗れると同時に、乗り捨てに耐えられるようかなり頑丈な構造になっています。変速機能はついておらず、タイヤは全部ゴムのいわゆるノーパンクタイヤになっています。
パンクしないタイヤは軽くするために穴が開けてあります。
変速ができないので上り坂の走行にはあまり向いていません。またサドルの高さも調節できないので、足が長い人は決して乗り心地が良いわけではありません。でも10分や20分程度の利用であれば、全く問題なく快適なサイクリングが楽しめます。
日本でもシェア自転車のサービスを始めている都市はありますが、乗り捨て型の導入は難しいようです。