中国の年間行事・記念日について学ぼう! ~後編~(端午節や七夕節の過し方)

前編・中編に引き続き、中国の年間行事・記念日について学ぼう!

前編:

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中編:

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(以下、■は国が定めた全国民の為の祝日、◎は対象者が限定されている祝日、☆は祝日ではないが重要視されている行事)

 

■労働節/メーデー(五一Wǔyī、劳动节Láodòng jié)

固定された祝日。

旧暦に関わらず毎年5/1、5/1~3の3連休。

以前は5/1~7の大型連休だったが、その内の4日間を「清明节(Qīngmíng jié)」「端午节(Duānwǔ jié)」「中秋节(Zhōngqiū jié)」に分散させ、2008年から労働節は3連休となり、「小黄金周(Xiǎo huángjīn zhōu)」ショート版ゴールデンウィークとも呼ばれる。

現在、80以上の国でメーデーを祝日としていて、中国では国や社会の為に貢献した人を表彰するお祝いの集会が行われる。日本ではメーデーというと働き方の在り方についてデモ行進をするというのイメージがあるが、中国では社会貢献の重要性を説く為の祝日であり、意味合い的には日本の「勤労感謝の日」に近いものがある。

特に決まった過ごし方はなく、過ごしやすい季節でもあることから国内国外へ旅行へ行く人が年々増えている。

 

◎中国青年節(五四青年节Wǔsì qīngnián jié)

旧暦に関わらず毎年5/4、青年(14~28歳)のみ半日休み。

中国の「五四运动(Wǔsì yùndòng)」が由来で、青年の「愛国・進歩・民主・科学」の志「五四精神(Wǔsì jīngshén)」を記念した日。現在では中国各地で青年たちによるボランティア活動・社会貢献活動・成人式が行われる。

 

◎国際児童節(六一国际儿童节Liùyī guójì értóng jié)

旧暦に関わらず毎年6/1、少年児童(13歳以下)のみ休み。

1925年にジュネーブの子供福祉世界会議で制定され、現在では 旧共産党諸国を中心に6/1を「こどもの日」としている。

健康や教育などの子供の権利を守り、成長を祝う為の日。中国各地でも、日本の「子供の日」同様に子供向けのイベントが開催され、家族で参加したり、子供にプレゼントを贈るのが一般的で、最近では「こどもの日」を過ごす成人した大人もいるようで、レストランであえてキッズメニューを注文したり、遊園地へ行ってはしゃいだり、幼少期に見たアニメを見直したりするようだ。

ある意味、大人にとっても童心にかえれる貴重な日なのかもしれない(笑)

 

■端午節(端午节Duānwǔ jié)

旧暦に則り毎年日にちが異なる。

旧暦の5/5、2018年は6/16、前後含めて3連休。

日本で端午の節句といえば、5/5の「こどもの日」だが、中国では春節・中秋節に並ぶ三大伝統節句の1つとされている。

「端午(Duānwǔ)」とは「午(5月)のはじめ」で、「5月の初旬」という意味である。

この時期は、季節の変わり目をさしており節目になることから、体調を壊さぬよう厄払いの意味を込めて、ちまき「粽子(Zòngzi)」を食べるという風習がある。日本のちまきはお餅やもち米に味がついておらず、砂糖やきなこを付けて食べるが、中国ではもち米とい一緒に包む具材が豊富で、お惣菜系では味付けをした豚肉入りの「猪肉粽(Zhūròu zòng)」・なつめ入りの「枣粽(Zǎo zòng)」、デザート系では小豆餡入りの「豆沙粽(Dòushā zòng)」など、地域によって具材が異なる。

これらを笹の葉に包みせいろで蒸して食べる。

横浜中華街では端午節以外でも食べることが出来るので、是非食べて欲しい。

また、この日は各地でドラゴンボートレース「龙舟(Lóngzhōu)」が開催され、多くの観客で賑わうことでも有名だ。

 

☆七夕節(七夕节Qīxì jié)

旧暦に則り毎年日にちが異なる。

旧暦の7/7、2018年は8/17、祝日にはならない。

日本では天の川を渡る織姫と彦星の星の話で知られているが、中国でも織姫「 织女(Zhīnǚ)」と彦星「 牛郎(Niú láng)」の古い神話を起源にもつ。

七夕は 「乞巧节(Qǐqiǎo jié)」「七巧节(Qī qiǎo jié)」「七姐诞(Qī jiě dàn)」とも呼ばれていて、日本のように短冊に願いことを書いて笹に飾るという風習はなく、若い女性の為に器用さを星に祈る「娘の日」である。

最近では、一年に一度しか会えなくても思い続ける織姫と彦星の揺るがない愛情に因み「恋人の日」として、バレンタインデーと並ぶほど人気である。

恋人同士でプレゼントを交換したり、レストランで食事をして過ごす。

七夕に食べる伝統的な食べ物に「 巧果(Qiǎo guǒ)」「 乞巧果子(Qǐqiǎo guǒzi)」がある。

これは油で揚げた点心の一つで、油・小麦粉もしくは米粉・砂糖・蜂蜜を原材料にしたお菓子で、花や魚の形をしたものなど、種類も豊富にある。

「巧(Qiǎo)」と「桥(Qiáo)」をかけて、織姫と彦星が無事に会えるように、お互いの気持ちが通じ合えるようにという意味も込められている。

 

■中秋節(中秋节Zhōngqiū jié)

旧暦に則り毎年日にちが異なる。

旧暦の8/15、2018年は9/24、前後含めて3連休。

「豊作を祈り、音楽を奏でて、月に祈る」という行事が民間に伝わり、中秋節はお月見をする日となった。日本では秋のお月見といえば団子だが、中国では中秋節に「月饼(Yuèbǐng)」を食べる。

丸い月餅は家族団らんを意味し、日本のお中元やお歳暮のように、親しい人・仕事でお世話になっている人へ贈る習慣がある。

月餅の餡の種類は様々で、小豆餡の他にも黒胡麻餡・ハスの実の餡・松の実の餡などあり、その餡の中にナッツや塩味のきいたアヒルの卵が入ったいる。

手のひらサイズから、ホールケーキサイズのビッグな月餅もある。お店によって、月餅の表面の絵柄も異なり、見ているだけでも楽しい。

中はやや硬めの餡がずっしり詰まっているので、食べ応えがある。最近では、伝統的な月餅だけでなく、フルーツ味やチョコレート味などの若者向けのフレーバーがあったり、月餅の形をしたアイスなどもあって人気だ。

ちなみに、新宿中村屋の月餅や崎陽軒の横濱月餅は中国本土のものより食べやすいので、月餅初心者におススメ。

 

■国慶節(十一国庆节Shíyī guóqìng jié)

固定された祝日。

旧暦に関わらず毎年10/1~7は1週間の大型連休となる。

1949年10月1日に毛沢東を主席として北京に首都を定めたことに由来する中国の建国記念日である。この時期は中国全土でイベントやセールが行われ賑わう。

近年はこの大型連休を利用して海外旅行をする人が多く、春節同様日本を訪れる中国人が増える時期でもある。

他の記念日のように、何かを食べる習慣は特にないが、この時期あたりから上海蟹「 大闸蟹(Dàzháxiè)」が市場に出回るので、旬の蟹みそを楽しむ人もいるだろう。

ちなみに、上海蟹の美味しい時期のことを「九雌十雄(Jiǔ cí shí xióng)」と言い、10月頃(旧暦9月)は濃厚な黄色の卵が詰まったメス蟹が、11月頃(旧暦10月)にはねっとりした白子がいっぱいのオス蟹が美味しいとされている。

 

~まとめ~

中国は日本同様祝日が多い国の一つで、年間行事・記念日を知ることで、日本との共通点がたくさん見つかる。

中国から伝わった行事が日本流に変化して現在の私たちの生活の一部になっているのも面白い。伝統的な行事は中国本土にいないと体感できないことも多いが、手近なところでは中華街で各種イベントが行われているので、是非中国のお祭り気分を味わって頂きたい。