中国語を独学で学習する人のための勉強方法とレベルアップのポイント

外国語を勉強している人に共通の課題は「どういう方法で勉強すればより速く上達できるか」ということでしょう。

 

外国語を習得するには長い時間と労力が必要ですが、その過程でも、より良い学習方法を選ぶことによって、上達の効率化が図れます。

中国語の場合も同じで、レベルアップのポイントというべき重要な点があるはずです。

ここでは、中国語を習得する上で難しい点を挙げて、その克服方法について考えていきましょう。

 

①聞き取り(ヒアリング)

中国語を習得する上で、最も難しいのは聞き取り(ヒアリング)だと言えます。

 

その理由はいくつかあります。

 

先ず、中国語は簡潔な表現を好む特長があり、文が日本語に比べて短いため、聞き取りの際の音声情報が少ないのです。

また、同じ発音でも声調によって意味が変わってくるため、聞き取りが困難になります。

 

さらに、方言の差が極めて大きく、特に南方方言(上海語、広東語など)の発音は、標準語である北京語と比べても大きな違いが有ります。

そのため、南方人は標準語を話す場合も訛りがひどく、外国人が聞き取る場合に大きな障害となります。

 

したがって、中国語の習得においては、聞き取りの能力を上げていくことが最重要課題となります。要するに耳のトレーニングです。

 

では、聞き取りの能力を上げるために、どのような方法が有効でしょうか?

 

おすすめは「書き取り」(ディクテーション)」です。

書き取りは、中国語では、

tīng xiě
听 写

と言います。

文字通り、「聞いて書く」という意味です。

 

具体的には、中国語の録音を聞きながら、その、内容をノートに書き取っていきます。

最初は使っているテキストを利用するのがよいでしょう。

最近のテキストには大概CDが付属しています。

一通り済んだら、テキストを見て間違いを訂正して、聞き取れなかった、間違った単語をチェックします。

その後は、録音を聞きながらテキストの文章を読んでいきます。

 

この方法では、音声と文字情報を同時にインプットすることで、記憶の定着がより強固となります。また、録音のスピードを上げて聞くことも有効でしょう(脳の活性化にも役立ちます)。

書き取りは長時間やると頭が非常に疲れます。

しかし、集中力を養い、中国語の音に耳を慣らすためには、とても有効な方法です。

 

②発音

中国語の発音も、日本人にとっては難しいと言えます。

なぜなら、中国語(北京語)の発音には日本語に無い音が含まれるからです。

例えば、「r」と「l」の区別、そり舌音と呼ばれる舌を丸めて発音する音(zh/ch/sh)などです。

 

さらに、中国語は声調言語で、標準語(北京語)の場合は四声があり、発音には一定のリズムを伴います。

全般的に平声の日本語とはかなり違いがあります。

日本人の学習者には、声調の方にばかりこだわる人がいますが、基本はあくまでも発音であって、発音記号の「ピンイン」をしっかり理解して発音練習をして下さい。

 

また、中国語の発声法はおなかから声を出します。

発音する場合の口の形も非常に重要です。

中国人の話す声が大きいのは、おなかから声を出しているからです。

 

中国人の中では、北京人とハルピン人の発音が最も正確だと言われます。

ネイティブの正確な発音をよく聞いて、正しい発音をイメージすることを心がけてください。

身近に発音の正確なネイティブがいれば、その人の発音をモデルにして、正しい発音のイメージをつくるのもよい方法です。

 

③語彙数

中国語は、英語のような複雑で規範的な文法体系を持っていません。

中国語で意味を表す場合は、文法的規則よりも、用語法が重要になります。

この点は、表意文字である漢字を使うという特長から来ていると考えられます。

つまり、英語のような文法上の形ではなく、より適切な単語を選ぶ「用語」の問題が重要だということです。

さらに、中国語は語彙数が非常多く、類義語(意味が似ている単語)も多いことが特長です。

そのため、必然的に覚えなければならない単語も多くなります。

用語の問題で言えば、いくつかの類義語の中から、最も適切な単語を選択しなければなりません。

単語を覚えるに当たっては、ただ単語の意味だけを覚えるのではなく、例文と一緒に覚えることが重要です。

例文というのは、単語の使い方を表した具体例です。

単語の意味だけではなく、使い方も一緒に覚えるということです。

さらに、用語法でいえば、語と語の組み合わせ、特に動詞と名詞(目的語)の組み合わせが重要です。

 

これを、文法用語で、

 

dòng bīn dá pèi
动 宾 搭 配 (動詞と目的語の組み合わせ)

 

と言います。具体例を下記に挙げます。

 

bàn shǒuxù fàng shǔjià dǎ máoyī
办 手 续 (手続きをする) 放 暑 假 (夏休みになる)  打 毛 衣 (セーターを編む)

 

gài fángzi fā gōngzī jiē diànhuà
盖 房 子 (家を建てる) 发 工 资 (給料を払う)  接 电 话 (電話に出る)

 

kāi wángxiào shàng dàxuě pāi diànyǐng
开 玩 笑 (冗談を言う) 上 大 学 (大学に通う) 拍 电 影 (映画を撮る)

 

これらの動詞と名詞(目的語)の結合は固定的で「連語」とも呼ばれます。

覚えるときには連語として覚えましょう。

また、単語の組み合わせには、修飾、非修飾的関係のものもあります。

 

以上のように、中国語の中で難しい点をいくつか挙げてみました。

難しいところ即ち弱点となります。

習得の過程では、当然ながら弱点を強化することが上達への近道となります。

 

今回は、文法については触れませんでした。

中国語の文法は、例えば英語の文法のような複雑さは有りませんが、中国語の特色から来る独特な点が有ります。

また機会があれば中国語の文法についても考えてみましょう。